[スカッとする話]社長の夫の不倫に5年間沈黙を貫いた私。愛人が出産した瞬間、会社に大量の証拠を送りつけると→翌日、夫が泣き叫びw[朗読] 【スカッと】

第2部

   

さおりが出産する日、私はパソコンの前に座った。

準備していたメールの送信ボタンにカーソルを合わせる。宛先は夫の会社の取締役全員、主要取引先、そして義父。件名は「篠原社長の不正行為について」。本文には不倫の事実と会社資金の私的流用の証拠を添付してある。

迷いなくクリックした。

「これで終わりね」

送信完了の表示を見て、私は大きく息を吐いた。5年間押し殺してきた感情が、ようやく解放されていくのを感じた。

その夜、夫は帰ってこなかった。さおりの出産に立ち合い、病院に泊まっているのだろう。翌朝、私はいつも通り朝食の準備をしていた。時計が午前9時を回った頃、玄関のドアが勢いよく開いた。

「みさ、お前何をした!」

夫は血相を変えて飛び込んできた。スーツは乱れ、ネクタイは緩み、額に汗が滲んでいる。病院から直接来たのだろう。

「会社に俺の不倫の証拠が送られたんだ。取締役全員にだぞ。取引先にも親父にも。お前がやったんだろ」

私は静かにソファーに座り、夫を見上げた。

「ええ、私がやったわ。5年間、あなたの嘘を聞き続けてきた。今度は私が真実を告げる番よ」

夫の顔からみるみる血の気が引いていった。

「お前、5年前から知ってたのか?」

「ええ。あなたが置き忘れた古いスマートフォンで全部見たわ。それからずっと証拠を集めてきたの。ホテルの領収書、愛人へのプレゼント、会社経費の流用。全部記録してあるわ」

夫は壁に手をついて、かろうじて体を支えた。

「愛人が出産した瞬間、会社に大量の証拠を送り付けたの。あなたが最も幸せな瞬間に、全てを崩壊させてやろうと思ってね」

夫の膝が折れた。まるで糸が切れた操り人形のように、その場に崩れ落ちる。両手で顔を覆い、肩が小刻みに震え始めた。

「5年間あなたに裏切られ続けた私の気持ち、少しは分かった?」

その時、夫のスマートフォンが鳴った。画面を見た夫の顔がさらに青ざめる。

「親父からだ」

震える手で電話に出ると、電話の向こうから義父の怒りに満ちた声が聞こえてきた。

「健吾、今すぐ家に来い。話がある」

「親父、これは……」

「言い訳は聞きたくない。今すぐ来い」

電話が切れた。夫は呆然とした表情でスマートフォンを見つめ、何も言えずに家を出て行った。

後で聞いた話によると、義父は夫を和室に正座させ、2時間以上にわたって説教を続けたという。

「お前は何をしていたんだ? 妻を裏切り、会社の金を愛人に貢ぎ、挙げ句の果てに子供まで作って」

義父の怒りは、夫がこれまで見たことがないほど激しかったそうだ。そして最後にこう告げた。

「お前には会社の株を全て売却してもらう。私が買い取る。そして社長の座も降りてもらう。従わないなら取引先に圧力をかける。お前の会社は1週間で潰れるぞ」

夫に選択肢はなかった。

その日の午後、臨時取締役会が開かれた。私が送った証拠は取締役たちに衝撃を与え、不倫という私的な問題だけでなく、会社資金の私的流用という重大な不正が問題となった。会議は紛糾し、最終的に夫の社長解任が決議された。創業者であり、会社を年商50億円にまで成長させた男を、もはや擁護する者はいなかった。

さおりは出産後、SNSで私を激しく誹謗中傷した。

「私と健吾さんの幸せを壊そうとする嫉妬に狂った元嫁」「自分が女として魅力がないから夫に捨てられたくせに」「こんな女と結婚していた健吾さんがかわいそう」

一部のネットユーザーは彼女に同調し、私への批判を始めた。「やりすぎじゃない?」「関係ない社員がかわいそう」「赤ちゃんには罪がないのに」。それらの書き込みは、私の心に小さな傷を残していった。

さらにさおりは「名誉毀損で訴える」と宣言した。私は弁護士の田所先生に相談した。

「可能性はゼロではありません。ただ相手方も不倫という不法行為を行っていますから、裁判になれば相殺される可能性が高いです。おそらく時効金目当ての脅しでしょう」

案の定、義父が動いた。さおりに「訴訟を起こすなら、会社の経費で買った高級品やマンションの家賃を全て返還させる」と通告したのだ。さおりはあっさりと引き下がり、子供の親権も放棄した。養育費もいらない、慰謝料だけ払ってくれれば子供のことは一切関わらない——そう言ってきたという。

夫はその子を引き取ることになった。

離婚調停は比較的スムーズに進んだ。夫は私の要求を全て受け入れた。慰謝料500万円、財産分与として会社の株式売却代金の半分、結婚期間中に築いた財産の半分も私のものとなった。

調停が終わった後、裁判所の廊下で夫と最後の会話をした。彼は以前よりもずっと痩せ、目の下には濃い隈があった。

「みさ……17年間ありがとう。そして本当にごめん。お前がいなければ会社は立ち上がらなかった。それなのに俺はお前を裏切った」

私は静かに答えた。

「健吾さん、私はあなたを許すことはできないわ。でも恨み続けることもしない。私は前を向いて生きていくから。あなたも子供のためにしっかり生きて」

夫は小さく頷き、私たちは別れた。17年間の結婚生活に終止符が打たれた瞬間だった。

離婚から半年が経った今、私は新しい会社で経理として働いている。中堅企業の経理部門のリーダーとして採用され、充実した毎日を送っている。週末には大学時代の同期・藤井と食事をすることもある。彼は静かに私を支えてくれる存在だ。

5年間の沈黙と復讐は、決して楽な道ではなかった。感情を押し殺し、証拠を集め続けた日々は、私自身の心を少しずつ蝕んでいたのかもしれない。しかしその経験があったからこそ、今の私がいる。

過去の痛みは消えない。それでも私は前を向いて歩いていく。自分の力を信じて、新しい人生を生きていく。